全国の観光地をバーチャル空間で旅行できるアプリが１２月１１日に公開されました。京都や北海道など全国の有名な観光地の中から岡山県のちょっと意外な場所が選ばれ、新しい観光のかたちとして注目されています。
バーチャル空間で旅行できるアプリ、ＡＮＡＧｒａｎＷｈａｌｅ（グランホエール）。全日空のグループ会社が開発したもので、インターネット上の仮想空間、メタバースで観光地を体験できます。体験できるのは、京都や北海道をはじめ、国内を中心に６４カ所。コロナ禍でリアルな旅行が制限される中、新たな観光の形として開発されました。
（ＡＮＡＮＥＯ事業開発部 松尾英樹リーダー）
「日常なかなか行けない場所も入っているし、有名な観光地も入っているので、隙間時間に簡単に旅行できるバーチャル空間として提供している」
実際に土産物を購入出来たり、リアルな旅の予約が出来るのも特徴です。毎日アクセスしてＡＮＡのマイルを貯めることもできます。岡山県内では、３つの観光地が選ばれました。
（報告 堀靖英）
「岡山を代表する観光地、倉敷美観地区もその一つ。スマホでどんな観光ができるのでしょうか？」
自らの分身・アバターが、ロールプレイングゲームの要領で観光地を旅します。歩いているとガイド役が登場して、場所の歴史や楽しみ方を教えてくれます。倉敷を案内してくれるのは、架空のガイド、黒部ヨシタカさん。黒部さんが紹介してくれた美観地区おすすめのスポットは、倉敷デニムストリート。全国的に有名な倉敷のデニム製品を取りそろえ、デニム色のソフトクリームや肉まんも売っています。
「バーチャル旅行で情報を得てから、リアル旅行で味わうのも、楽しみ方の一つです」
その場所ならではのファッションで、アバターを着せ替えることもできます。倉敷で買ったジーンズを履いて、記念撮影。バーチャル旅行できる岡山県内残り２カ所は、岡山市の吉備津神社と総社市の鬼ノ城です。少し意外なチョイスですがその理由は…
（ＡＮＡＮＥＯ事業開発部 松尾英樹リーダー）
「日本の物語で一番有名なのは桃太郎。岡山できびだんごを買う人は多いが、なかなか鬼ノ城まで足を伸ばすことはない」
岡山に語り継がれる桃太郎伝説。弓の名手、吉備津彦命が、温羅という鬼を退治した、という言い伝えに基づいています。吉備津彦命が陣を構えたとされるのが、吉備津神社。そして、温羅が住んでいたとされるのが鬼ノ城です。
「その鬼ノ城があるのはあの山です。標高約４００メートルの山頂付近に築かれています」
山頂までロープウェーなどはなく、細い道を車で上がらなくてはいけません。
「なかなか足を伸ばす人がいないのも頷ける」
駐車場に着いたら、そこからさらに坂道を歩いて登ります。
「結構急ですね…景色はすごくいいです」「見えました！あれが鬼ノ城の西門です！」
大和朝廷が国の防衛のために築いたとされる古代の山城ですが、歴史書には一切登場せず、謎に包まれています。
（東京からの観光客は…）
「こんな所にお城を作って、あまりないですよね」
復元された巨大な西門が歴史ロマンを感じさせます。
（ＡＮＡＮＥＯ事業開発部 松尾英樹リーダー）
「実際に現地に行ってみると、すてきな景色や、歴史を知るきっかけになる。現地に行く前にバーチャル空間上で体験して頂き、リアルで行ってみたいと思うコンテンツにしたい」
山の上にあり、リアルに旅するにはちょっと大変な鬼ノ城もバーチャル旅行なら気軽に体験できます。これを機に、リアルな旅行者の増加も期待できます。今後、アバターを桃太郎に着せ替えたり、鬼と対決、なんてこともバーチャルで出来るかもしれません。
こうした新しい観光の形に地元経済界も期待を寄せています。岡山市のトマト銀行は、今回このＡＮＡＧｒａｎＷｈａｌｅに資金面で協力しました。
（トマト銀行コンサルティング営業部・佐々木千秋部長）
「バーチャルの空間から、リアルな観光の誘客やショッピングにつながる、バーチャルとリアルの融合に魅力を感じた。地方に眠っている観光地を世界に発信する。地域貢献につながるので、もろ手を挙げて賛成」
観光地の魅力の再発見にもつながるバーチャル旅行。ＡＮＡＧｒａｎＷｈａｌｅでは今後、土産物のショッピングや宿泊の予約などリアルな観光の架け橋となる機能を充実させ、地域創生に貢献したいとしています。
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